サラリーマン引退を前にしてあらためて給与明細を見る。健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料の社会保険料で毎月約9万円も払っている! 社会保険料は労使折半なので、実は会社も別途約9万円を払ってくれているのである。もし、社会保険料が個人100%負担ならば、給料は月約9万円増えるかもしれないが、社会保険料は毎月約18万円である。労使折半というカムフラージュを使ってこの大きな負担感を個人に与えないようにしているが、会社にとってと言うか実態は「本当の給与=表面的な給与+労使折半の会社分」(社会保険料は個人が給与明細で認識する金額の2倍)なのである。
労使折半というカムフラージュは、結果として、労使で給与イメージに認識格差を作っている。労(個人)が「社会保険や税金が引かれて、手取給与が少ない!」と言えば、使(会社)は「社会保険の労使折半の会社分を含めて結構な金額払ってますよ!」となる。繰り返しになるが、結構大きな社会保険負担を労使で分割認識させているが、実態としては、社会保険料は私の場合、実質毎月約18万円(年間200万円超で、所得税・住民税の合計より大きい!)なのである。違う言い方をすれば、退職のシュミレーションにおいて経済的に失うものは「給与+労使折半の会社分」で、私の場合、「給与+労使折半の会社分で年間100万円超」なのだ。
ところで、60才で退職するとどうなるか? 多くの場合、健康保険料と介護保険料については今までの2倍の金額を支払い任意継続という制度で最長2年間従来のものを継続し、厚生年金保険については積み立てが無くなる。なお、日本年金機構がねんきん定期便等で示す積立て金額の総額は個人支払い分だけで、労使折半であることを踏まえれば半額しか表示されていないことになる。「年金が少ない!」という文句に備えるための半額表示!? 私の場合、個人で納めた厚生年金保険料の総額が約2400万円と表示されるので、実際にはその2倍の約4800万円を積立てて「そこそこ貯まっている」(老後に1億円必要とか言うが約半分は公的年金でカバーされている、残りは年金化した退職金と個人の蓄えでどうにかなる)イメージで退職@還暦判断を行った。社会保険は、労使折半というカムフラージュをしっかり理解しないと実態が見えない。