我が箱根峠宅では、1年を通して虫と闘い、夏は(標高870mなので暑さとの闘いは限定的ながら)80%超の湿度・霧と闘い、冬は(空気が澄み景色は良いが)終日氷点下の寒さと闘う。日本の夏は気温・湿度はマニラ並で、冬の寒さはストックホルム並と聞いたことがある。また、結構な数の台風が接近するため、欧米の平均的な都市の3倍の降水量があるようだ。とは言え、日本の自然環境は、(近代社会を支える地下資源は限定的で、また、時々自然災害が発生するものの)総じて人間に親和的で、温帯モンスーンの湿潤な気候の中で水が豊富で、多種の樹林に覆われている。つまり、国際比較すると、一定以上の多様性・豊かさ、そして結果として余裕がある。その余裕は、島国として周りが海(=城壁)であることで補強されてきた。その様な環境下、日本では各種自然の恵みに対する感謝・儀礼が「海の神」「山の神」「地の神」等八百万神に向けられたのでないか。(主要宗教を生んだ様な)中東の荒野とは大きく違う独自性の高い日本の自然環境・気候風土が、国際的にユニークと言われる精神性・宗教性の背景になっていると思う。