人類

昨夜のブログでは自己を振り返った。本日は人間を振り返る。

動物の中心課題は食・寝・性、つまり、個体として生存を確保し子孫を残すこと(生存&生殖)がミッションだ。動物は、食うか食われるか・狩るか狩られるかの世界(生物圏)において、このミッションを外部環境の変化に対応しつつ、より確実に行うように進化してきた。人類は、結果として生物圏を脱して人間圏を構築したと言えるほど進化し文明を築いた。個体としてひ弱な動物である人間の生き残り策のポイントは、脳と他者との協力※だった。

※ 人間以外の動物の脳内世界は各個体の中で完結しており、個体を越えて干渉することは/他者を思いやることは極めて限定的と言われる(もしあっても単純なレベル)。言い換えれば、人間以外の動物は、(多少の例外はあるかもしれないが)脳に組み込まれたプログラムに基づき個体として無条件反射的に行動/環境に反応しているだけだ。

人間は学名がホモサピエンス/Homo Sapiensという生物種で、正確に言うと、動物界-脊椎動物門-哺乳綱-霊長目(サルを含む)-ヒト科-ヒト属-ヒト種。(アフリカの乾燥化に伴い、森林の縮小・サバンナの拡大を背景に森林生活からサバンナでの生活へ、生活環境を変えざるを得なかった→)600万年前にアフリカでチンパンジーから分岐したヒト科動物(→アフリカを出たものもあったが絶滅。200万年前に脳が大きくなり始めたことと集団規模拡大が関係しているという学説がある)、20万年前にアフリカでヒト種/ホモサピエンスが出現した(→10万年前から全世界に拡散。世界に拡散する前に言語を得た。脳が大きくなったことが結果的に言葉を可能にした。それ以前は踊り・音楽・目線等で同調した)。ヒト科-ヒト属-ヒト種は、脳/心の働きを高度/複雑に進化させ※※食物連鎖を勝ち抜き、ネアンデルタール人が絶滅した1.3万年前に食物連鎖の絶対的な頂点(食うか食われるか・狩るか狩られるかの世界=生物圏から脱出。世界人口500万人)に立ち、1.2万年前に狩猟採集生活から農耕定住生活(食物/カロリーが安定的に増産=生存基盤が拡充され人口が飛躍的に増た)に移りその勢いを加速させ(数千年前に古代文明が成立すると、社会階層が生じ、食料生産に関わらない人や都市が出現し、さらに都市が結びついて帝国が生まれた。ただ、人口は疫病・戦争で調節された)、500年前からの科学革命で更に加速度的に文明を築き上げて現在に至っている。人口増加曲線は18世紀後半の産業革命以降に急カーブを描き今日の人口爆発に至った(18世紀の世界人口7-8億人→現在80億人)。

※※ 600万年前に森林生活からサバンナ(草原)での生活になり、2足歩行で手が使えるようになり道具の使用が可能になるとともに物理的に脳を大きくしやすくなった(ハード要因)。(また、自由になった両手で食料を運び、安全な場所で人々は食事ができるようになり食事という文化が始まった。)その後、250万年前に現れたヒト属は、180-80万年前から火を利用するようになった。のひとつの利用方法が調理で、加熱して胃腸への負担の少ない形で食事ができるようになり、脳によりエネルギーが使えるようになった(ソフト要因)。また、火食により消化器官が小さくなり主直2足歩行が完成したとも言われる。このハード+ソフト要因で増強されやすくなった脳を使って記憶力や想像力がアップし、増大した想像活動がさらにを大きくした。

脳の発展で得た想像力(そこに無いものを知覚する能力)が人間を人間たらしめてたと言える。人間はこの力を使うことで、未来、時間の概念、自己の将来の死、他者の心⇔自己意識・自我(この2つは同時にセットで獲得したと思われる=よりスムーズなコミュニケーションのために他者の心を読みとる/他人の心に寄り添う必要があり、他者の精神活動を自分自身の精神活動として脳内でシミュレーションし、同時に自分自身の精神活動と他者の精神活動とが混乱しないように自己と他者を明確に区別する必要があった)、より安全で便利な生活、各種抽象概念を理解できるようになった。人類史を概観すれば、この想像力の増大が1.3万年前に臨界点に達して、それ以降の垂直的な文明の発展につながった※※※。

※※※ 脳の使い道。①「過去」をより多く記憶できるようになり、加えて「未来」を想像できるようになった。「過去」-「現在」-「未来」とつなぐ中で時間の概念を得て、さらに、自らが死ぬことを認識した。なお、人間以外の動物は「現在」しかない(=自己の死の認識は無い)。②共同生活する他者の心を想像できるようになり、コミュニケーション能力が格段に増し、最大150人レベル(脳の容量が500ccの時代の集団の最大サイズは15人。150万年前には脳の容量が600ccに増えたので、30-50人の集団に。そして60万年前に脳の容量は1500ccに達し、人間は最大150人の集団を形成可能に。この頃から現代に至るまで脳の容量は変わっておらず、今の人間も実は「150人の集団」のための脳しか持ち合わせていない)のチームワーク/共感力を可能にした。物理的/身体的な感覚だけでなく想像力で他者とつながれるようになり、やがてそれが音楽・言語・文字の発明につながっていった。この進展は、一面で自他区分を通じて自己意識・自我の確立につながった(末尾<考察>「自己意識・自我の確立・自己所有感覚」参照)。なお、人間以外の動物に厳密な/「深い」自己意識・自我はない(高度霊長類にはあるとする学説はあるし、その他の動物でも広義の/「浅い」自己意識はあるも言われているが、人間のそれは「任意の1点ではなく、円の中心でそれ以外の一切の点と質的に異なった特異点」のイメージの自己意識・自我)。③より安全で便利な生活を想像して、その実現のために道具に工夫を重ねた。結果として、石器、縫い針、木船、土器、釣り針、車輪、弓矢(1.3万年前)、紙など、さまざまな道具を考案した。「手+脳=道具の継続的高度化」を実践した。④言語取得後は、目に見えないコンセプト/概念を想像できるようになり、向上したコミュニケーション能力でコミュニティー内で色々なことを共有した(7万年前に起こったとされる認知革命)。神話・宗教、国、貨幣などだ。有史前ホモサピエンスは、最大150人のコミュニティーで生活していたが、この認知革命のおかげで(特に貨幣の力は強大で)、はるかに大きな集団が形成されるようになった。なお、人間以外の動物はDNAに埋め込まれたプログラムで生存・生殖に関わる「群れ」は作るが、(後天的に得た)目的・意志を持って集団を作ることはない。

「ホモサピエンスが食物連鎖の絶対的頂点1.3万年間(人類が人間圏を構築)」÷「ヒト属の歴史250万年間(人類が生物圏の中にいた)」=0.52%≒7分間in1日24時間。(通常、生物の進化は、かなり長時間をかけて起こるが)この文明の垂直的な発達は、人類史を1日とするとほんの数分間の出来事でなので、進化が追いつけるわけがなく、人間の心身は、ほぼ狩猟採集(食うか食われるか・狩るか狩られるかの)生活(農耕生活の200倍超の期間)の時のままである。想像力が行動を通じて創造力になり、結果として生活環境がどんどん変わっていく中、1.3万年程度の短期間では変わらないものが、狩猟採集(食うか食われるか・狩るか狩られるかの)生活の時のリスク感覚と「150人の集団(食物の蓄積が限定的であり、結果として「学級委員長」はいるがその場での分け与えが基本の平等な集団)」での生活感覚である。人間圏で生活する我々は、リスクが想定より相当程度低いが、規模が想定より相当程度大きな社会に住んでいる。また、大きな組織につきもののヒエラルキー、経済格差も脳にとってはなじみの薄いものだ。

<考察>「自己意識・自我の確立・自己所有感覚」 脳内での自他区別の結果として、人間は「世界・自然から自分を切り離した自己認識(自己と外部世界・他者を区別して認識)・意識を確立した。人類の心の独創的な機能が誕生したのである。例えれば、自分で自分をコントロールする飛行機の「コックピット」のような機能が備わったと言えるかもしれない。その後、その「コックピット」にある計器には、他者の精神活動に加えて、自己の情報も種々示されるようになり、それらに基づいて総合的に思考して行動を主体的に選ぶ(臨機応変な自由意志)/外部環境に自由意志で反応する体制を確立していった。この「コックピット」こそが人間の人間たる所以だ。さらに、「コックピット」は、想像世界や抽象概念等(含む、他者比較、自尊心、後天的に得た価値観)も扱えるようになり、人間が幅を広げていくことになる。蛇足ながら、人は、「コックピット」にある計器で示された情報をもとにした思考・決定・行動を重ねて個性・人格をつくるのだろう。併せて、具体的なコミュニケーション道具自体、つまり言語の開発も進んだ(最初の言語は10-8万年ほど前に出現したと考えられている=ネアンデルタール人よりホモサピエンスがそれまでの流れを極めた)。最大150人の集団でお互い協力し合って獲物を捕らえる時に使う言語・コミュニケーション能力だ。前述の他者の精神活動理解およびこの具体的な言語・コミュニケーション能力が、身体能力・脳の容量においてまさるネアンデルタール人(十数人単位で生活していた)に勝てた大きな理由と言われている。なお、前述の「コックピット」及び言語を使って想像世界として神・神話・宗教等を生み出し、それらを言語・コミュニケーション能力を使って共有し150人の枠を超えて(共感の輪を広げ)より多くの人を束ねてパワーを集積(神話・宗教+国家・貨幣等)していったと考えられる。人間は、「コックピット」の想像機能と言語・コミュニケーション能力を駆使して想像世界を広く共有して、個体を束ねてコミュニティ-全体に渡り知的な/統制的な活動を発展・継承できるようになった。ホモサピエンスは他の動物比、超おしゃべりだ。また、他者の心の状態を斟酌し、適時・適切なコミュニケーションができる個体がコミュニティ-内の地位を高めていった。なお、「コックピット」には、1日6万回も情報が示されるようだ(→だから、閃きがある/夢を見る)。そのほとんどが、自由意志の結果ではない自動的な(五感や無意識から発せられた)感覚・感情であり、かつその8割はネガティブで、しかもその95%は前日と同じ内容と言われる。脳の想定と今の人間が置かれた環境には大きなギャップがあり、現代社会の安全度を踏まえて、人間は根源的に過度な不安症と言える。ブッダは、第一の矢(自然発生的なネガティブな感覚・感情)を受けるのはやむを得ないが第二の矢(さらに心配事を過去・未来に広げて積み重ねる事)は受けるなと忠告した(人類史・脳科学の知見が限定的な2600年前に、ブッダは洞察・瞑想によって人間の根源的なポイントをついた)。

【今日の1日】晴。4時半起床。家事一般。情報by新聞・TV。サイト運営。SNS受発信。朝食。ゴミ捨て-農園-買物-昼食-ジム。夕食。就寝。(一言)来年の目標は出版に向けて筋道をつけること。

【INPUT】(日経新聞) (WSJ) (YouTube)(読書)人生は気分が10割 キム・ダルス著

【OUTPUT】マンダラチャート維持

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