日経の記事、「人の弱みつけこむテック企業 哲学者が憂える「副作用」直言×テクノ新世インタビュー トロント大のジョセフ・ヒース教授」が面白い。「ネットは人々をつなぎ、効率的な社会を実現した。だが近年は情報技術の負の面についての論議が増えている。テクノロジーの副作用が無視できない段階に来ている。」「問題は、企業が人間の弱みにつけこむことがあるという点だ。私たちの脳は大量の情報を瞬時に処理できる。だからスマートフォンの画面からとめどなく流れてくる刺激にくぎづけにされてしまう。ここに商機を見いだしたのがビッグテックの企業群だ。」「これらの企業のサービスにうつつを抜かしている間に、貴重な資源である集中力が奪われてしまった。刺激に身を委ねるばかりで熟考の習慣を失った人々は非合理的な判断に傾きやすい。思考停止、他者への攻撃的な態度、そして摩擦と分断。情報技術がもたらしたそうした状況を見るにつけ、今の社会は正気を失っていると思う。」「人間の認知の特性を研究したテック企業は様々な手法を用い、時間や注意力という私たちの貴重な資源を収奪する。だらだらネットを見続けるのがよくないことは誰だってわかっているが、弱点につけこまれあらがえない。まずこの現実に目を向ける必要がある」「SNSも人間の理性を切り崩している。ネットが普及するまでの言論活動は主に活字媒体の上で行われていた。そこにはプロの書き手とプロの編集者がおり、読まれるに値するものを生み出すために多くの時間と労力が投入された。それが言論の質を担保していた。」「だがSNSが普及した現代、人々は自分の考えを直接発信する。Xやフェイスブックに編集者は存在せず、客観的なチェックを受けない言説が垂れ流されている。テクノロジーが豊かな言論空間を実現したと言う人もいるが、それは虚妄だ。」「人間が理性的存在であり続けるためには意志の力に頼ろうとするだけではだめで、望ましい行動に仕向けてくれる環境を整える必要がある。この単純な事実を理解すれば、どのようなテクノロジーと選択的に付き合うべきか分かるはずだ。」「文明がここまで発展したのは、理性を用いて合理的に考える力を私たちが持っていたからだ。だからテクノロジーの不適切な開発と使用によって理性の力が損なわれてしまうことを、私は深く憂慮している。」「人間は素晴らしい合理性を発揮する一方、とんでもない集団的不合理にも陥りやすい存在だ。理性の力を手放さず、いかにして正気を保ち続けるか。それが現代社会の最大の課題だろう。うかうかしていたら民主主義や健全な市場といった社会の礎が崩壊しかねない。そのことを今こそ肝に銘じたい。」
【今日の1日/晴】6時起床。家事一般。情報by新聞・TV。サイト運営。SNS受発信。昨夜イベントの後処理。朝食。移動準備。昼食。新中野-箱根峠。夕食。阪神タイガース観戦。就寝。(一言)
【INPUT】(日経新聞) (WSJ) (YouTube)(読書)夢をかなえるマンダラチャート ブッダが教える心の仕組み:52の「心所」で読み解く仏教心理学入門
【OUTPUT】マンダラチャート維持。