1,000円を持っているとして、800円を使えば200円が残る。900円なら、残りは100円。支出の差はたった100円だが「残るお金」の差は倍になる。この違いは、生活にゆとりがないときほど、ズシンと重くのしかかってくる。100円しか残っていないのと、200円残っているのとでは、「自由に使える余裕」という意味で、体感はかなり異なる。若い頃、私はこの話を何度も妻に語っていたらしい。すっかり忘れていたが、ある日、妻にこう言われた。「その話、あなた何度もしてたわよ」。妻は公務員家庭で育ち、堅実ではあるものの、お金の流れに強い関心を持たずに育った。そんな妻の心に、この話は案外刺さっていたのだ。「どれだけ使ったか」よりも「どれだけ残るか」を意識する貯蓄モード。可処分所得が限られていた若い頃の私は、それを肝に銘じ、実は今も「慣性の法則」のように、その金銭感覚が基本にあるように思う。
しかし、経済的余裕のある今、お金を残すことに価値を置きすぎると(貯蓄モードを継続すると)、かえって人生の充実感を削るという、逆説的なリスクにも気づくようになった。今、指針とすべきは「足りるか・残せるか」ではなく「自分の人生をどう彩るか」だ。状況・環境変化が、「何に使うか」=お金の意味づけへ金銭感覚の更新の迫っていると言える。言い換えれば、経済の量的な側面(支出額・残高)から、経済の質的な側面(使い方・意味・影響)への転換が必要なのだ。金銭感覚を進化させる必要性を、今、「慣性の法則」に逆らいながら、実はまだ腑に落ちていないものの、ようやく言葉にできるようになった。
では、経済生活の指針を転換するにはどうすれば良いか? 具体的には、「どれだけ残すか」から「何に託すか、何に活かすか」への「経済生活の指針」変更。①お金=時間・自由・体験への変換装置と捉える。お金を使って得られるものは、モノよりも、時間的ゆとり・新しい体験・自由な選択肢。移動を楽にする、快適な居場所を整える、行きたかった場所に行く、やってみたかったことに挑戦する。つまり、 「これは、時間や人生の質を豊かにする使い方か?」と問う。②お金=意志や価値観の表明手段と捉える。支出は「投票」でもある。どのような世界を応援したいか、どんな価値観を支持するか。応援したい地域へのふるさと納税、信頼できる小規模事業者への購買、持続可能性あるモノの選択。つまり、「このお金の使い方は、自分の価値観を映しているか?」と問う。③お金=後に残すもの、つなぐものと捉える、今の支出は、未来の自分や他者へのメッセージにもなる。家族に残す思い出、記録、自分史、あるいは社会的な貢献。つまり、「この使い方は、何かを残せるか?つなげられるか?」と問う。④お金=「今ここ」の幸福感への投資。将来に備えるのではなく、「今の自分」に満ち足りることに使う。好きな人との食事、心地よい空間、五感を活性化する体験。つまり、「これは、今日の自分にいい人生だと思わせるものか?」と問う。
【今日の1日】晴。5時起床。家事一般。情報by新聞・TV。サイト運営。SNS受発信。朝食。ルンバ清掃等移動準備。昼食。新中野-箱根峠。夕食。(一言)金銭感覚の更新! 明日、不動産決済日。
【INPUT】(日経新聞) (WSJ) (YouTube)(読書)言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか by 今井むつみ・秋田喜美
【OUTPUT】マンダラチャート維持
